ISSUE No.01 : The history of "TENUGUI"

ISSUE No.01 : 手ぬぐいの歴史

今から1300年も昔、奈良時代の頃にはまだ「手ぬぐい」という言葉はありませんでしたが、確かにそういった布の存在はすでにあったとされています。人が文字を書けるようになった時代には既に存在していたと言われており、特別な神事の装身具や神仏の清掃、飾り付けなどに使われていました。平安時代(794年 - 1185年)からは麻や絹で作られるようになりましたが、庶民と貴族で使用する素材が分かれるようになりました。その中でも綿で作られた手ぬぐいは、祭礼などの特別な場でしか手にすることができない貴重な存在でした。

鎌倉時代(1185年 - 1333年)になると、武士階級が手ぬぐいを使用し始めました。これは礼儀作法の一環であり、戦の際に汗を拭う用途でも使われました。戦国武将たちが頭にオリジナルの手ぬぐいを巻き、さらにその上から兜を被るシーンを、時代劇などでも時々見かけることができます。

 

江戸時代(1603年 - 1868年)には、綿花の栽培が盛んになり、手ぬぐいは庶民の間で広まりました。この時代には手ぬぐいの用途が拡大し、日常生活の万能選手として愛用されました。タオルやハンカチの役割だけでなく、日除け、ほこり除け、包帯、履き物の修理など、幅広い用途で使われました。銭湯文化も広まり、入浴の際に使われる綿素材の手拭いは「湯手(ゆて・ゆで)」と呼ばれていました。また、粋なファッションアイテムとしても注目され、手拭合わせという品評会が開かれるほどでした。

明治時代(1868年 - 1912年)に入ると、染色技術の向上と工業化により、生産性が向上しました。多様化したデザインと一緒に、手ぬぐいはインテリアやファッションにも使われるようになりました。戦後の高度経済成長期(1950年代 - 1980年代)には、観光地での土産物として人気を集め、世界中で知られるようになりました。

現代では、手ぬぐいは様々な用途に使われており、エコロジーへの関心と共に、サステナブルな選択肢としても重視されています。伝統的な技法を守りつつ、現代のライフスタイルに合わせた新しいデザインが生み出されており、日本の文化としての価値を今も高めています。

 

このように、手ぬぐいは日本の長い歴史を通じて、様々な用途と形で人々の生活に密着してきました。装飾品から実用品、そしてエコロジーに繋がるアイテムへと進化を遂げながら、今なお私たちの身近な存在として残っています。

ブログに戻る